宅建・過去問の使い方
宅建士試験の過去問の使い方を詳しく解説します
資格試験において、過去問ほど大事なものはないといっても過言ではありません。
これは宅建士試験でも同じであり、過去問を有効に使うことが出来るかが合否がわかれるのです。
結論からいうと、最終的には過去問はスラスラ全部の問題が解けるようになっているということが理想的な状況です。
本記事では、宅建士試験における過去問の重要性を確認し、その上でおすすめの過去問集や過去問の使い方などを紹介していきます。
過去問ほど重要なものはない
宅建の過去問は何度も出題される
宅建士試験では、過去問で問われた知識は、何度も、何度も繰り返し問われます。
以下、年度の違う過去問を3つ紹介します。
問われている知識は「時効取得前の第三者」という同じものなのです。
AがBから甲土地を購入したところ、甲土地の所有者を名のるCがAに対して連絡してきた。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
Cが時効により甲土地の所有権を取得した旨主張している場合、取得時効の進行中にBA間で売買契約及び所有権移転登記がなされ、その後に時効が完成しているときには、Cは登記がなくてもAに対して所有権を主張することができる。
A所有の甲土地についての所有権移転登記と権利の主張に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
甲土地につき、時効により所有権を取得したBは、時効完成前にAから甲土地を購入して所有権移転登記を備えたCに対して、時効による所有権の取得を主張することができない。
A所有の甲土地を占有しているBによる権利の時効取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
Aから甲土地を買い受けたCが所有権の移転登記を備えた後に、Bについて甲土地所有権の取得時効が完成した場合、Bは、Cに対し、登記がなくても甲土地の所有者であることを主張することができる。
例に挙げた上記の3つの問題は、いずれも同じ論点(問題点)が問われています。
権利関係勉強すると前半に出てくる論点ですが、時効取得前の第三者という論点です。
参考 権利関係の勉強方法とコツ
まだ権利関係を勉強していない場合には、問題自体は今の時点でもわからなくても問題ありません。
ここで知ってほしいことは、平成22年,平成24年、平成27年と同じポイント・知識が2~3年おきに出題されているということです。
たまたま例に挙げた問題だけではありません。宅建士試験では、過去に出題された問題が何度も出題されるのです。
時折、「過去問で出た知識はもう出ないんじゃないか」という人がそれは大きな間違いです。「過去問で出題されたところが、また出題される」のです。
つまり、宅建士試験では過去問は、再出題可能性が高い問題の宝庫ということはぜひ知っておいてください。(なお、過去問が大事ということは、行政書士試験や司法書士試験など多くの法律系資格であてはまります)
過去問をマスターできれば合格点に達する
宅建士試験においては、過去問を1冊完璧にしておけば、毎年合格点に達することができています。
試験は選別試験ですので、新しい問題や新しい切り口の問題は毎年出題されます。でも焦る必要はありません。
宅建士試験の合格点である35点前後は、過去問の知識を完璧にしておくことで毎年到達することができるからです。
つまり、宅建士試験の過去問が、スラスラできるまで勉強できれば、よほどのことがなければ合格できたも同然なのです。
一般的な合格者は、試験本番で、過去問で出ている知識は間違えず、過去問で出ていない問題は解けないでも合格していくというのが一般的な姿です。
独学におすすめの市販の過去問集と特徴
市販されているおすすめの過去問集をいくつか紹介しますね
ユーキャンの宅建士 過去12年問題集
過去12年分の過去問について、詳しい解説が載っているのが特徴です。
宅建士試験へのチャレンジが2回目以降でひととおり勉強している人は、解説を参照にして勉強していけば、新しい基本テキストは不要という程度の詳しさです。
また、宅建士の資格試験対策として長年、多くの人に愛用されているので信頼できる一冊です。
わかって合格(うか)る宅建士 分野別過去問題集
(わかって合格(うか)る宅建士 過去問 ベスト300 2018年度 (わかって合格る宅建士シリーズ))
過去問で重要な問題を300問ピックアップしている過去問集です。1年で50問が出題されますので、年数にしたら6年分の過去問です。
問題数がやや少ない感もありますが、少ない問題でも重要問題を集めていますので、試験でよく出る重要問題だけを何度も繰り返すことができるというのが大きなメリットです。
試験まで時間があまりない場合に過去問を「最低限」抑えるためには大変おすすめです。
宅建士 これだけ!一問一答集
一問一答でまとめている過去問集です。一問一答なのでスキマ時間に勉強をするという場合には最適です。
大変使いやすいので仕事の合間に勉強をしなければならないような人には最適な1冊です。
過去問の勉強方法
できる問題と出来ない問題を「区分け」する
過去問の使い方としては、まず第一に過去問を実際に解いて、解くことができる問題と解くことができない問題とにわけることが重要です。
できない分野をあぶり出すイメージです。
過去問を10年分・5回転した...12年分・3回転した...など何回解くかに焦点をあてて話す方もいますが本質は違います。
過去問集は問題が膨大ですので、何度も解くことは時間的に難しい上に、解ける問題は何度解いても解けるのであまり意味がありません。
大事なことは、まず過去問から自分自身が解くことができない問題をあぶり出すということです。
自分自身が解くことができない問題をあぶりだしたら、次に、解けなかった問題をテキストやネットなどで調べて解けるようにしていきます。
その結果、自然に全部の過去問ができるようになってくるということです。
最初に書いたように、過去問は最終的には1冊がスラスラ解けるようになることが理想的です。
そのためには、自分自身が解けない問題をあぶり出したら、解けなかった問題だけを集中して解いていくことが効率的です。
過去問で気づいた点をリスト化していこう
過去問を解いていくと、出題される知識で同じような「引っ掛け」が数多く出題されていることに気づくと思います。
ひっかっけ問題に引っかかった人は特に注意してください。たまたま引っかかったのではなく、何度も引っかかるからです。二度あることは三度あるということです。
過去問で、よく出る間違いの「引っ掛け」に気づいたらメモに残してリスト化していきましょう。
例えば、宅建業法において、クーリングオフが適用されないケースを覚えますが(事務所等)買主から申し出があった場合であっても、レストランや喫茶店、ホテルのロビーでの契約は、クーリングオフの対象になるという知識は過去問を解いていくことで身につく知識です。
このような知識をメモにしておきましょう。
まとめ
まずは過去問、最後も過去問
過去問だけを解いていると「過去問だけでは知識が足りないのではないか」といった悩みを持つことがあるかもしれません。
しかし、過去問をすべてマスターしたら本当に合格できます。過去問は演習問題ではなく、テキストなのです。過去問にはじまって、過去問におわる。そう言い切れるほど過去問が重要なのです。
過去問以上に手を伸ばそうとするのであれば過去問をマスターした上でするという意識を持ちましょう。
宅建士試験においては、過去問をマスターすればほぼ間違いなく合格できます。「まずは過去問、最後も過去問」という意識で勉強をして行くことが合格へつながります。