権利関係の勉強方法とコツ

宅建士独学受験・権利関係の勉強方法とコツ

 

権利関係、どうやったら効率よく勉強できるのか?


 

まず、宅建士試験における「権利関係」の概要を把握し、学習するポイントを意識しながら勉強することで、とても効率よく勉強することができます。

 

この記事では、宅建士試験の「権利関係」について法律の目的やポイントを説明した上で、学習のポイントをわかりやすく解説します。

 

 

権利関係とは?

権利関係の分野は、宅地建物取引士(宅建士)に直接関係する法律で、土地や建物に関する権利関係に関する知識を問われる科目で、宅建業法に次に重要な科目です。

 

民法、借地借家法、区分所有法、不動産登記法などから出題されます。日常生活と深く関わってくる分野ですが、出題範囲が広いため、苦手とする受験生も多いのが特徴です。

 

科目

主な学習分野 出題数
宅建業法

免許制度
宅地建物取引主任者制度
業務上の規制

20問
権利関係

民法
不動産登記法
借地借家法
建物区分所有法

14問
法令上の制限

都市計画法
建築基準法
土地区画整理法
宅地造成等規制法

8問
税その他 税法鑑定評価基準

地価公示
住宅金融支援機構
景品表示法

8問

 

 

権利関係の特徴

 

権利関係を苦手科目にしないために、まず概要を把握しておきましょう


 

一通り学ばないと意味が分からない

合格への意気込みを持ってはじめて権利関係の勉強を始めると、30分で意気消沈することでしょう。

 

善意の第三者、対抗関係、抵当権の付従性・・これまで聞いたことがない専門用語の重なりに最初のやる気は削がれて嫌気がさしてくること請け合いになると思います。

 

このような感覚は権利関係の勉強を始めた最初の感覚として正しいものです。

 

権利関係の中心となる民法は、一度最後まで勉強しないとわからない構造となっています。

 

 

権利関係はじっくりと学べばよい

 

民法を含む権利関係の分野は、勉強してもしても理解できないような錯覚に陥ります。

 

民法がパンデクテン方式という構造(メカニズム)を採用しているためであり、最初は理解できなくても全く問題はありません。

 

最初は理解に時間がかかり、後半は思考をさびつかせないために勉強の継続が欠かせないという非常に厄介な分野です。

 

予めじっくりと時間をかける勉強すると覚悟をもって学ぶのがポイントです。

 

 

 

 

 

権利関係の学習のポイント(初期)

 

 

権利関係は利害関係を考える

権利関係は最初はわからず、繰り返すことでわかるようになってくるとしても、学習のポイントはあります。

 

権利関係は、利害調整の法律であると考えると、理解が進みます。

 

例えば、比較的最初の方で学習する「虚偽表示と善意の第三者」については、不動産の元々所有者 VS 不動産を買ってしまった人の信頼が問題となっています。

 

元々の所有者としては権利を失いたくない、一方で、お金を払ってしまった人としては権利を得たい。この両者の利害を「善意かどうか」という基準で調整しています。

 

権利関係は利害関係を考えることで理解がしやすくなる面が非常に多く存在します。

 

 

身近な例で考える

相続の分野などでは、A、B・・といった人物を身近な人に置き換えることで理解がしやすくなります。

 

相続の分野は利害調整に加えて、個人の意思も大きく尊重される分野であって、「自分だったらこれは嫌だな」などと考えると理解が進みます。

 

例えば、借金が多い場合の相続放棄について、「いくら債権者が困ってしまうとしても、親の借金を急に肩代わり(相続)しなければならないのは困る、だから相続放棄は債権者の利益を損ねても自由にできるべきだ」という理屈は、自分に置き換えればわかりやすいのではないかと思います。

 

このように相続の分野などは自分自身に置き換える、身近な問題として考えることで理解が進みやすくなります。

 

 

 

権利関係の学習のポイント(中盤)

 

権利関係は数学に似ている

ひととおり権利関係の分野に目を通したら、権利関係の勉強は数学に似ていると考えると良いでしょう。

 

中学校の数学を思い出してください。

 

数学の勉強は、最低限度のルールを理解したら何度も繰り返し問題を解くということをしましたよね。

 

権利関係で安定した実力をつけるためには、数学と同じと考えて勉強をすることが効果的です。

 

過去問を中心として何度も繰り返し問題を解くことで実力が自然と身についてきます。

 

 

対抗問題、二重譲渡は特に重要

宅建士は最終的にはプロとして不動産の取引に関わる仕事をしますから、不動産に関する法律分野は当然重要となります。

 

民法で定められているルールとして特に大事な不動産取引のルールが対抗問題ないしは二重譲渡の問題です。

 

ひとつの不動産をAさんとBさんがダブルで購入してしまったとしたら・・(実務上は取引上の大事故となりますが、試験では非常によく出ます)。

 

この場合にAさんとBさんのどちらが優先するか定めるのは原則として登記の先後によります。

 

この対抗問題・二重譲渡の事例については事例形式で出題されますので、事例を図に書いて何度も解くということが大切です。

 

 

重要度が増してくる相続分野

相続の分野は、超高齢化社会によって社会的重要性が高まると同時に、2020年からは改正民法が施行されます。

 

2020年施行の民法は、相続の分野だけの改正ではありませんが、相続についてのルールも大きく変わってきます。

 

例えば、配偶者居住権の制度などは相続に関するこれまでのルールを大きく変えてしまうものとして注目されます。

 

不動産は当然遺産に含まれますので、不動産取引のプロである宅建士は相続分野についての改正は見過ごすことができません。

 

改正直後の出題も見込まれますので、相続分野は最新の情報でしっかりと勉強しておきましょう。

 

 

 

 

権利関係の学習のポイント(直前期)

 

類似制度の「混同」に注意!

権利関係についての学習が済んで、本試験が近くなってきた頃に注意すべきポイントとしては、似た制度で知識を混同しないということが挙げられます。

 

例えば、代理の終了事由と委任の終了事由などは混同していませんか?(ちょっと心配になったら民法第110条と653条を引いて違いを確認しておきましょう)

 

試験では合否の差をつけるために、混同しやすい点を狙い撃ちで出題してきます(近年は特にこの傾向が強いと言えます)。

 

学習がある程度進んできたら、自分で知識が混乱しやすい点について表にしてまとめておくなどの学習が効果的です。

 

 

定期的に過去問を解く!

上で権利関係は数学に近いと書きました。

 

数学と同じく、民法は一度解けた問題でも時間が経つと解き方を忘れてしまうという厄介な科目です。

 

特に学習後期になってくると、法令上の制限などの知識の確認に目を奪われて時間がかかる権利関係をおろそかにしてしまうというのは宅建士受験生「あるある」です。

 

しかし、しばらく権利関係の問題を解かないままで本試験に臨むと「あれ?これどっちが正しいんだっけ!?」と悩んで、頭が真っ白、覚えていたはずの知識まで忘れてしまって結果は30点・・という悲しい経験も宅建士受験生で「あるある」(?)かもしれません。

 

権利関係の問題は定期的に解くクセをつけておきましょう。
「毎日30分権利関係を解く!」というようなことがおすすめです。

 

 

借地借家法は目を通す

権利関係で出題されるのは民法だけではなく、借地借家法、不動産登記法、区分所有法など含まれます。ただ、民法以外で重要なものは借地借家法です。

 

不動産登記法や区分所有法は、出題が1問程度である上、理解に時間がかかるのであまりコストパフォーマンスが良い分野ではありません。

 

(また区分所有法は勉強しすぎると民法の共有の原則と知識が混同してしまうおそれもあり、危険です)

 

権利関係の学習の中心は民法ですが、借地借家法の知識は頻出なので、学習の後期になってきたら一度はしっかりと学習をしておきましょう。

 

借地借家法の正確な知識をもっていることが合格へのカギとなるかもしれません。

 

 

 

権利関係の学習のまとめ

 

権利関係を苦手とする受験生は多いですが、試験勉強の終盤から一気に得点が伸びますよ


 

権利関係は、最初は理解に時間がかかり、後半は思考をさびつかせないために勉強の継続が欠かせないという非常に厄介な分野です。

 

しかし、権利関係を確実に得点源にするかによって合否はわかれます。(あとは宅建業法です)

 

逆に権利関係を苦手にしてしまうと、宅建試験の合格は運に左右されてしまう「運ゲー」になってしまいます。

 

権利関係は仕事で法律的にじっくりと考えなければならない場合、他の士業と相談をする際などにもとても重要になります。

 

権利関係は厄介な科目ですが、一生役に立つ知識となります。

 

時間をかけてじっくりと学習して、確実な得点源にしましょう!