税・その他に関する勉強方法とコツ

宅建士独学受験・税・その他に関する勉強方法とコツ

 

税・その他、どうやったら効率よく勉強できるのか?


 

まず、宅建士試験における「税・その他」の概要を把握し、学習するポイントを意識しながら勉強することで、とても効率よく勉強することができます。

 

この記事では、宅建士試験の「税・その他」について法律の目的やポイントを説明した上で、学習のポイントをわかりやすく解説します。

 

税・その他とは?

税・その他の分野は、宅建業法、権利、法令上の制限以外の不動産業界で必要となる知識が問われます。

 

税法、不当景品法、住宅金融支援機構法、地価公示法などから出題されるため範囲は広いですが、問われる内容は限られています。

 

得点比率も低く、テキストの終盤で学ぶため試験対策が疎かにしがちになる科目です。

 

科目

主な学習分野 出題数
宅建業法

免許制度
宅地建物取引主任者制度
業務上の規制

20問
権利関係

民法
不動産登記法
借地借家法
建物区分所有法

14問
法令上の制限

都市計画法
建築基準法
土地区画整理法
宅地造成等規制法

8問
税その他 税法鑑定評価基準

地価公示
住宅金融支援機構
景品表示法

8問

 

 

税その他分野の特徴

 

知識と教養の幅を広げるという意識で勉強をしていきましょう。


 

税金の知識が必ず出題される(2問)

さまざまな税金
導入でも書いたように、税その他の分野では、税金の知識が必ず出題されます。

 

不動産という高額な財産を売り買いすれば、そこに税金がかかってくるというイメージは持ちやすいと思います。(実際に不動産取得税という税金がかかってきます。)

 

また、税金では減税措置がたくさん設けられています。
例えば、居住用財産を買い換えについて利益が出ていない場合には課税がされません。(特定の居住用財産の買換え等の特例等)

 

減税措置を知らないでは、お客さんに巨額の税負担を負わせてしまうことになります。

 

このように税金については、さまざまな税金の種類とともに、減税措置も多くあります。
これらの税金の種類や減税措置などを理解して覚えていくことになります。

 

あまり深くは知らなくても大丈夫!
税金に関する知識はかなり専門的で覚える前提として理解するだけでもかなりの労力がかかります。
でも、あまり心配する必要はありません。
税法の知識で難しいものが出てしまえば、実務経験などで知っているごくわずかな人を除いて、基本的にみんな間違えます。

 

宅建士試験対策としての税金の知識は、テキストに太字で書かれているものや予備校で出題予想がされているもの以外は、差がつかない問題として捉えるのが試験対策としては十分です。

 

宅建士試験合格後、実務では極めて大事ですが、試験対策としては合否に影響が少ないと考えて基本的な知識だけをしっかりと習得することが大切です。

 

あまり税法の知識で神経質にならなくても大丈夫ということです。

 

 

税法以外の出題知識

税法以外の出題(6問)
税法以外で出題されるものとしては、

 

  • 土地建物の値段の定め方(不動産鑑定評価基準や地価公示法)
  • 住宅の融資に関する制度(住宅金融支援機構法)
  • 広告についての規制ルール(不当景品類及び不当表示防止法)
  • 不動産についての統計
  • 土地、建物の特徴

 

があります。
これらの問題は、実務経験がある人は免除となる問題もあります(いわゆる5点免除)。

 

実務経験により免除があるということは、知識面で覚えるというよりも実務に出てから体で覚えるという面が強いということです。

 

取れそうな分野で取る!
知識よりも実地で覚えるという面が強い分野のため、法律が得意な人でも急に苦手になってしまう分野もあります。
例えば土地、建物の特徴などは法律知識とはまったく関係がありません。

 

ただ、税法以外の出題についても、テキスト・予備校で習う基本的な知識以上のことが出ればみんな間違うというくらいの余裕を持って取り組めば、それでOKです。

 

6問ありますので取れそうな分野は取っておいて(広告の規制ルールなどは取りやすい分野です)、あとは宅建士試験のメインとなる権利関係と宅建業法で取るということで十分です。

 

権利関係と宅建業法をしっかりと勉強しておくことが宅建士試験合格のカギですので、これらの分野の勉強がしっかり出来ていれば、あとはドン!と構えて気楽に勉強しましょう。

 

 

 

税法学習のポイント

以下では、必ず出題される税法の学習上のポイントを述べていきたいと思います。

 

税金は減税理由や数字を覚えることが大事

 

減税の理由を正確に押さえると理解がススム

 

例えば、減税措置として、居住用財産の3000万円の特別控除という制度があります。

 

この制度は、居住用財産(マイホームなどです)を売った場合に、売った利益(譲渡益)から3000万円の控除を受けることができるという制度です。

 

この制度で減税がされる理由は、マイホームなど居住用財産を可能な限り市場に売りに出してもらいたいということです。

 

このことを理解していると、例えば以下のことが理解できます。

 

 

3000万円の減税が適用されない場合

例えば、工場などを売却して利益が出ても、3000万円の減税措置は適用されません。
これは上記のとおり、この減税措置が居住用財産を市場に出したいということから自然に理解することができると思います。

 

また、この特例は配偶者(妻、夫)や直系血族(親や子、孫など)に居住用財産を売却した場合にも適用されません。

 

身内に売却するということは、居住用財産を市場に売りに出したとは考えられないためです。(この点は例えば、平成24年の過去問で出題されています)

 

このように税法は制度の目的を理解しておくと、適用場面の判断を間違うことが少なくなります。

 

数字は正確に覚える

ただ、税法でどうしても難しいのが、数字などを覚えるという点です。

 

例えば、不動産登記をする際にかかる税金である登録免許税について

 

・所有権保存登記の申請:不動産価格の4/1000。ただし、特例の条件を満たせば1.5/1000
・所有権移転登記の申請:不動産価格の20/1000。ただし、特例の条件を満たせば3/1000

 

といった具合で数字は確実に覚えていなければ試験では間違えてしまいます。

 

税金に関する数字を覚えるということは、机の上で紙の知識として学ぶよりも、実際に電卓を叩いて計算した経験がものをいいますので、試験対策としては過去問集で出ているところだけを紙に書いて練習するという程度までで十分です。

 

 

 

税法以外の学習のポイント

 

土地、建物の知識は狙い目

地理の勉強感覚で学ぼう
税法以外の分野としては、土地、建物に関する知識が必ず出題される上に(深入りしすぎなければ)理解がしやすい分野になります。

 

例えば、山麓部は地すべりなどの災害が起こりやすく、一般には宅地に適していないという知識、埋立地と干拓地を比べた場合には、埋立地の方が海面より高いために、埋立地は干拓地より安全(平成23年出題)などといった知識は、法律の勉強に飽きてきた時に、気分転換的にも学ぶことが出来るでしょう。

 

中学校の地理の勉強の延長という程度の意識で学ぶことができます。(繰り返しますが、試験対策として「深入りしすぎなければ」という条件付きです。実際にはとても奥が深い分野です)

 

その他は「感覚」で
税法、土地建物の知識以外では、先に書いたように不動産の値段の定め方や住宅の融資の知識、広告の規制ルール、統計が出題されます。

 

これらは(比較的わかりやすい広告規制を除けば)人それぞれとっつきやすい、とっつきにくいがあると思います。
これらについては、自分の感覚として比較的理解しやすいと感じる分野について、過去問やテキストで書いてある基本的なことだけをしっかりと押さえるようにしましょう。

 

感覚的に合わない分野はバッサリ切ってしまって、その分、権利関係や宅建業法に力を入れたほうが合格できる可能性はずっと高くなります。

 

 

 

税・その他の学習のまとめ

 

税・その他の分野は深追い禁物!全てに詳しいという人はまずいないので、焦らないようにしましょう


大事なのは権利関係と宅建業法!

本記事では意識的に、権利関係と宅建業法を重視するべきということを何度か述べました。

 

何度も同じことを書いたのは、宅建士試験で権利関係と宅建業法をややおろそかにして「その他の分野で稼ぐ」という人がたまにいますが、これは試験対策としては合格が運に左右されてしまい、合理的でないためです。

 

その他分野の出題は、範囲がとても広く(税金・土地建物の知識・広告・不動産の価格決定方法・融資など)全てに詳しいという人はまずいません。
あくまでも宅建士試験合格のためには権利関係と宅建業法を最重視するのが効率的です。

 

 

その他の分野は「おまけ」にできるように

そのため、その他の分野はまんべんなく点数を確実に取るということは事実上不可能であり、「この分野に掛ける!」ということは1年に1度しかない宅建士試験を運試しにしてしまいます。

 

その他の分野はおまけとして気楽に勉強できるくらいしっかりと権利関係と宅建業法を勉強しておきましょう。