宅建士と行政書士のダブルライセンス

宅建士と行政書士のダブルライセンス

 

宅建士を取った後、行政書士をとってダブルライセンスを狙うのはどうだろう?


 

宅建を取得を皮切りに、行政書士など他の国家資格を目指す方もたくさんいます。

 

果たしてダブルライセンスをとって意味があるのか?勉強はスムーズにできるのか?など気になる方も多いと思います。

 

結論からいうと、資格試験の科目の面からも、業務の面からも相性は良いです。この記事では宅建士と行政書士のダブルライセンスについて詳しく解説します。

 

行政書士とは

 

行政書士試験は、毎年5万人が受験している人気の国家資格です


 

行政書士のイメージと実務

行政書士は、現在は会社設立関係書類の作成や遺産分割協議書など、市民生活の利便のための法務手続きを数多く行っています。

 

行政書士という資格は、マンガ、ドラマの影響でとても有名になりました。伝統的に行政書士の中核になる業務は、許認可申請です。

 

代表的な許認可申請
  • 建設業許可申請
  • 風俗営業の許可申請
  • 産業廃棄物運搬の許可申請
  • 外国人の在留関係の許可申請
  • 宅建業法の免許申請

 

一般的に「公的な申請が難しい」「実際にどこで、どういう手続きをやったらいいかわからない」という役所の手続きを代理・代行するのが行政書士です。

 

 

行政書士の業務範囲は広い!

行政書士という資格の特徴は、とにかく、取扱業務の範囲が広いということです。

 

先ほど例に挙げた各種許可申請以外にも、行政書士が取り扱い可能な書類はたくさんあり、なんと1万種類と言われます。

 

現実には、事務所として成り立っている行政書士は、建設、風営(警察)、入管など伝統的な許認可業務が中心です。ただ、それであったとしても、業務範囲が広いことに違いはありません。

 

業務範囲が広いので、仕事の競合があまりなく、お互いに実務を教え合って業務知識を共有したり、専門外なら専門の行政書士を紹介するなど、互いに協力関係でやっていくことが多いも行政書士の特徴です。

 

 

手続きの得意な分野で、棲み分けをして協力しあっている感じです。


 

司法書士の登記、税理士の税務など仕事は競合するため商売敵ができやすいですが、行政書士は比較的協力し合うことの多い職業なのです。。

 

 

行政書士は各種士業の窓口にもなる

行政書士は、身近な法律家として、さまざまな相談を受けて、専門外、法律(行政書士法)の権限外の仕事であれば、他士業と連携してワンストップで仕事をこなすというスタンスの専門家もいます。

 

相続の相談があった場合の例
  • 相続登記の必要性が生じた場合には、登記の部分は司法書士へ
  • 税務の申告が絡む場合には、税務の部分は税理士へ
  • 年金に関する部分があれば、年金知識に詳しい専門家である社会保険労務士へ

 

このように、依頼主からワンストップで仕事を受けて、他士業との連携を取って法務手続きを処理するといった窓口となっているというケースもあります。

 

士業との連携を重視するという点では、宅建士の仕事に似ている経営形態を取っている行政書士もいます。

 

 

行政書士と宅建士資格の関係性

 

次は、試験の出題範囲の関連性について解説しますね。


 

権利関係についての勉強が役に立つ!

宅建試験勉強で学ぶ権利関係の知識は行政書士試験でも使えます。権利関係については、行政書士試験では「民法」という科目で出題されます。

 

行政書士試験の「民法」では、、借地借家法は含まれますが、区分所有法や不動産登記法は基本的に含まれません。

 

そのため、試験範囲の法律科目としては行政書士の方が狭くなります。

 

 

しかし、宅建士試験の権利関係に比べて、行政書士の民法は2倍は難しいと思ってください。

 

問われる条文、知識の量、理解の深さが宅建士試験よりも行政書士試験の方がはるかに難しいです。

 

 

宅建で法律を学ぶと、行政書士試験の勉強に入りやすくなるかんじですね


 

ただ、権利関係として、民法を宅建士試験で勉強しておいた分は必ず生きてきます。

 

宅建士試験合格の後に民法を学ぶことで、より一層民法を「リアル」に「深く」わかるようになります。

 

 

 

行政書士試験は、行政法が一番重要

行政書士試験においては、行政に関する法理論である「行政法」がとても大事な科目になります。宅建士試験で言えば、「宅建業法」にあたる科目です。

 

出題数も多く、民法と並んで行政法で点数を稼げなければ行政書士試験での合格できません。

 

この点は宅建士試験で「権利関係」と「宅建業法」が合格のカギを握るという点と似ているかもしれません。

 

行政書士試験では民法と並んで行政法で点数を取ることが合格の肝となります。

 

 

「法令上の制限」の分野はすこし行政法と被る

行政法は、宅建士試験を勉強していると「ほんの少しだけ」役に立つ場面があります。それは「法令上の制限」の分野です。

 

 

法令上の制限について、抽象的に理論化されているのが行政法といったイメージになります。


 

ただ、行政法は行政事件訴訟法という行政訴訟に関する法律、国への損害賠償請求である国家賠償法など、俗に言う「国を訴える」裁判に関する知識も勉強します。

 

そのため、宅建士の勉強が行政法で役に立つ面は、民法に比べるととても少ないということになります。「行政法はいちから勉強する」という意識で取り組みましょう。

 

 

行政書士試験は一般教養問題が曲者

行政書士試験では、法令に関する知識だけではなく、一般教養が出題されます。宅建に言い換えると、「税金・その他」の分野でしょうか。

 

行政書士試験におけるこの一般教養は大変な曲者なので注意が必要です。

 

一般教養で基準点を取ることができないと、仮に法律科目が満点でも不合格となってしまいます。要は足切りです。

 

一般教養は、文章理解(大学・高校受験の「国語」の問題です)で確実に点数を取って、細かい知識はカンで当たることを願って答えてくるというのが行政書士試験合格者のほとんどの姿です。

 

行政書士試験を始めるにあたっては、一般教養は決して軽視しない姿勢で臨みましょう。

 

ただ、宅建士試験に合格できているということは、宅建士試験の勉強の中で自然に文章読解力がついているということなので、一般教養は「あまりわからなかったけど文章読解が正解していて基準点は超えていた」ということになりやすいと言えます。

 

 

 

行政書士と宅建士のダブルライセンス取得後

 

宅建士と行政書士の資格をダブルで取ったあとのライフプランについて解説します。


 

行政書士を活かして独立開業を目指す

宅建士は不動産取引のプロですが、自分で不動産会社(宅建業)を始めない限りは、企業内で使うことができる資格となります。一方で、行政書士は完全に独立開業型の資格です。

 

行政書士の資格が会社内で役に立つというケースは、ほとんどありません。

 

行政書士の資格を活かすと言うためには、宅建士で勤めながらお金を貯めて、その後に独立を目指すというのがひとつのおすすめのライフプランです。

 

行政書士で成功するためには、営業力が必要です。もちろん、宅建士時代に培った営業力と人脈があれば、安定的に行政書士として仕事をしていくことが可能です。

 

 

 

社会保険労務士や司法書士のトリプルライセンスで独立

行政書士は独立開業型の資格ではありますが、相当高い営業力が必要とされる資格でもあります。

 

業務範囲が広いため、「何をしている人なんですか?」と言われても、なかなか答えにくいのが行政書士です。

 

弁護士は裁判、司法書士は登記、社会保険労務士は会社労務など、資格自体の「売り」があるのですが、それらに比べると行政書士は少し専門性に劣ります。

 

だから、営業や人脈にあまり自信がもてないという場合には、社会保険労務士や司法書士などのトリプルライセンスで独立している人も数多くいます。

 

 

宅建士+行政書士まで取れたのですから、「もうひと資格」頑張ってみるというのもひとつの方法と言えます。

 

 

筆者は、宅建合格後に行政書士を取得、その後司法書士も取得しました。