法令上の制限に関する勉強方法とコツ

宅建士独学受験・法令上の制限に関する勉強方法とコツ

 

法令上の制限、どうやったら効率よく勉強できるのか?


 

まず、宅建士試験における「法令上の制限」の概要を把握し、学習するポイントを意識しながら勉強することで、とても効率よく勉強することができます。

 

この記事では、宅建士試験の「法令上の制限」について法律の目的やポイントを説明した上で、学習のポイントをわかりやすく解説します。

 

 

法令上の制限とは?

 

法令上の制限は、建築基準法や都市計画法などで定められている土地や建物に関する法令上の制限に関する知識が問われる分野です。

 

建築基準法や都市計画法のほか、国土利用計画法や農地法などから出題されます。

 

暗記しなければならない事項が多い科目ですが、覚えてしまえば安定して得点できるため、多くの受験生が得点源科目にしています。

 

科目

主な学習分野 出題数
宅建業法

免許制度
宅地建物取引主任者制度
業務上の規制

20問
権利関係

民法
不動産登記法
借地借家法
建物区分所有法

14問
法令上の制限

都市計画法
建築基準法
土地区画整理法
宅地造成等規制法

8問
税その他 税法鑑定評価基準

地価公示
住宅金融支援機構
景品表示法

8問

 

 

法令上の制限分野の特徴

 

細かなところまで問われますが、短期間で高得点が狙えますよ


 

法令上の制限のイメージと意味

まず、法令上の制限の意味から確認していきましょう。
法令上の制限については、都市計画法の制限でかんがえるとイメージしやすいと思われます。

 

例えば、閑静な住宅街のド真ん中に、突然巨大な工場が建てられたら閑静な住宅街は一気に騒然とした雰囲気になってしまうでしょう。

 

本来、土地を所有している人ならそこで何をしようと自由なのが法律の原則です(民法第206条)。

 

しかし、何らかの行政目的(ここでは平穏な住環境保護)から法律によって不動産の使用などに制限をかけるというのが法令上の制限です。

 

 

さまざまな法令上の制限

法令上の制限は、宅建士試験で出題されるものとしては、上記の都市計画法の他に、主に農地法、建築基準法、国土利用計画法などがあります。

 

宅建士試験で出題されるもの以外にもたくさんありますが、基本的に宅建士試験用のテキストに掲載されているものを順番に学習していけば問題はありません。

 

どのような法令であれ、法令上の制限は、原則的に利用が自由であるはずの不動産利用について、どういった目的で、どういった法律の仕組みで制約をしているかをという意識で学習することでわかりやすくなります。

 

ただ、宅建士試験対策としての法令上の制限の学習は、最終的には制度の仕組みを理解することよりも制度を記憶するということが大事になります(つまり暗記科目です)

 

 

 

法令上の制限の勉強法

 

まずは過去問を見てみよう(平成30年第19問)

過去問の出題を見てみましょう。
平成30年の第19問、建築基準法の問題です。

 

よければ一度解いてみてください。

 

建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

1 田園住居地域内においては、建築物の高さは、一定の場合を除き、10m又は12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。

 

2 一の敷地で、その敷地面積の40%が第二種低層住居専用地域に、60%が第一種中高層住居専用地域にある場合は、原則として、当該敷地内には大学を建築することができない。

 

3 都市計画区域の変更等によって法第3章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員2mの道で、特定行政庁の指定したものは、同章の規定における道路とみなされる。

 

4 容積率規制を適用するに当たっては、前面道路の境界線又はその反対側の境界線からそれぞれ後退して壁面線の指定がある場合において、特定行政庁が一定の基準に適合すると認めて許可した建築物については、当該前面道路の境界線又はその反対側の境界線は、それぞれ当該壁面線にあるものとみなす。

 

誤っているものは2です。

 

理由:建築物の敷地が2以上の用途地域にまたがっている場合には、敷地の過半の属する地域の制限が加えられます。
本問では、敷地の60%が第一種中高層住居専用地域なので、同地域として扱われて、第一種中高層住居専用地域には大学を建設することができるので、誤りです。

 

 

はじめは理解、最後は記憶

 

まずは理解

この問題を、法令上の制限をまだ勉強していない時点で初めて読んだとしたら、専門用語の羅列で選択肢の意味自体がわからないという感想になると思います。

 

そのため、法令上の制限の勉強は、最初は法律の用語と仕組みを理解するということから始まります。

 

各種の規制法律(建築基準法などそれぞれの法律)の用語と規制の仕組みがわかっていなければ問題の選択肢自体が理解できません。

 

 

次に記憶

そして、最終的には知識として記憶していなければ問題は解けません。

 

上の問題であれば、

 

①2以上の用途地域にまたがっている場合は、敷地の過半の属する地域の制限が加えられる。
②第一種中高層住居専用地域には大学を建設することができる

 

この2点の知識がスーッと出てくることで正解できます。

 

法令上の制限は、はじめは制度を理解をして、最終的には知識として記憶をしているということが必要です。

 

イメージとしては学校の社会に似ていると言えます。
中学でやる公民などは最初にある程度理解をしたらあとはひたすら暗記ですよね。
このイメージが法令上の制限にあてはまります。

 

 

 

法令上の制限の勉強法のコツ

過去問を繰り返すのが王道

法令上の制限については、過去問で同じ知識がくり返し問われる傾向が強い分野です。

 

そのため、(テキストや予備校の講座などで)ひととおりの制度理解⇒過去問を何度も繰り返すというのが王道です。

 

この際に、自分が間違った問題には付せんを貼ったり、ノートやワードでまとめるということをすると自分自身の弱点が把握できて効果的だったりします。

 

まとめ教材の利用

まとめ教材の図表の利用
法令上の制限については、市販の教材や予備校の教材で知識の横断整理をわかりやすくしてくれています。

 

ほとんどのテキストに、よく出る知識のまとめの図がしっかりと掲載されていますので、その図を丸暗記するというだけである程度問題が解けてしまいます。

 

図表の暗記が得意という人は、過去問よりも図を覚えるという方法の方が効率的に法令上の制限を学習することができます。

 

ゴロ合わせも役立つ
また、法令上の制限について、まとめ教材にはゴロ合わせが載っているものもあります。

 

法令上の制限で出題される数字などは、いくら考えても覚えていない限り出てきません。そのため、覚えるためのツールとしてゴロ合わせを使って「楽しく覚える」というのはとても有益です。

 

試験本番では不正は絶対してはいけませんが、「ゴロで覚えて来てはいけない」などというルールはありませんからね(笑)
楽しく覚えられるゴロはドンドン利用して覚えてしまいましょう。

 

 

法令上の制限に力を割きすぎないことも大事

目標は5~6点

 

これまで述べてきたように、法令上の制限は、理解&記憶の繰り返しになります。

 

一度理解したあとは、ひたすら過去問やテキストで繰り返せば8点中、5点から6点程度の点数は安定して取れるようになります。

 

ただ、法令上の制限にあまり力を割きすぎないということも宅建士試験合格のためには重要です。

 

 

 

法令上の制限の学習のまとめ

 

出題数は少ないですが、短期間で高得点が狙える分野です。でも深追いは禁物ですよ


 

法令上の制限は8問の出題ですが、権利関係は14問、宅建業法は20問も出題されます。

 

つまり、法令上の制限は出題数が少ないので、いくら努力をして覚えても出題数的に取れる点数に限界があります。

 

また、「8点満点を狙う」というのは試験戦術としてはあまり適切ではありません。

 

宅建士試験では15万人の受験生で合格点が毎年35点前後になるように難問を含ませてあります。

 

そのため、法令上の制限をいくら勉強しても、本番では難問などで満点というのは現実的ではありません。(試験後の予備校の解説などでも「この問題は間違っても仕方がない」という問題が毎年必ず含まれます。)

 

あくまでも宅建士試験のメインは権利関係と宅建業法として対策をするのが合理的です。

 

なお、宅建士試験で学習する法令上の制限に関する知識は最低限のものですが、不動産取引の実務では、思わぬトラブルが生じないようにするためにはとても重要となってきます。

 

法令上の制限は試験合格後も勉強をおこたらないようにすることが大切な分野となります。