宅建士が人気な理由
毎年20万人もの人が受験する宅建士試験、どうしてそんなに人気なんだろう?
宅建試験の受験者は毎年20万人以上!他の法律系資格試験に比べて宅建士受験者の数は群を抜いています。
法律資格は、行政書士、社会保険労務士、司法書士、税理士など様々ありますが、20万人も受験する資格は宅建士以外では存在しないのです。
不動産業界に携わるっている人がみんな受験するから? いいえ、違います。
この記事では、宅建士が人気の理由について、様々な視点から解説します。「あ、自分に当てはまるかも」と感じたら、ぜひ宅建士の受験を本気で考えてみてみましょう。
不動産業界では必須の資格
まず、宅建士資格を目指す層としてもっとも多いのは、不動産業界に勤めている人です。不動産業界へ就職を考えている学生、転職希望者も同様に宅建士の資格取得を目指します。
その理由は、不動産業(宅建業)の会社では、従業員5人に1人の割合で宅建士の資格者が正社員で在籍していなければならないと法律で定められているためです。
宅建士の資格を持っていなくても就職できますが、宅建士の資格を持っている方が圧倒的に有利になるからです。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書の記名押印
- 契約書への記名押印
そのため、不動産業界では宅建士資格が法律上必須となっており、不動産会社に勤めている(勤めようとしている)人は、宅建士資格を取得しようとするのです。
宅建士の資格を取得するメリット
中には「会社から言われてしぶしぶ受ける」という人もいますが、取得するメリットがいくつかあります。
① 資格手当がもらえる
多くの会社では宅建士資格を取ると、資格手当がつきます。
会社によって異なりますが、宅建士の資格手当は月1万円から3万円のところが多いです。年収の額面で12万円~36万円プラスになるので、コスパの良い資格でもあります。
不動産会社では宅建士資格で資格手当受けることができるという、わかりやすいメリットがあり、受験の動機を強めています。
参考 宅建士の年収
② 社内でのキャリアアップに有利
次に、勤めている会社の内でキャリアアップをするために宅建士試験を受験する人もいます。
不動産業界では売上をあげる営業力が重視されますが、会社内で重要な仕事を任せる最低限度のスキル・知識の証明として宅建士資格を持っていることが要求されます。
宅建士資格があることで法律上義務付けられている独占業務を社内で行うことができると同時に、取引額が大きい重要な仕事を任せられやすくなります。
このように社内キャリアアップという目的のために宅建士資格を受験する人もいます。
③ 転職のために取得しておく
また、現在勤めている不動産会社から他の不動産会社への転職活動の一環として宅建士資格を目指す人もいます。
上で書きましたように、不動産会社では5人に1人の割合で必ず宅建士の正社員が必要ですので、会社として宅建士資格の有資格者はいくら抱えていても損はありません。
このことを転職希望者から見れば、宅建士資格があればとても有利になるということになります。
「今の会社は合わない・・別の会社に転職したい」という野望(?)を旨に次回の宅建士試験に向かう人がいるのです。
④ 将来的な独立開業に向けて取得する
さらに、宅建業(不動産業)で独立、開業して自営業者としてやっていくために宅建士資格を目指す人もいます。
大手デベロッパーなどの不動産会社は資本力がなければ作れませんが、街の不動産屋など小規模な会社であれば資本力がなくても作ることができます。
宅建士の有資格者を従業員5人に1人の割合で雇えば社長自身が資格を持っていなくてもかまいませんが、独立する人にとって固定の人件費は大きな負担となります。
独立するつもりがなくても、万が一独立する場合には、固定費を減らすことができることから、自ら取得する方が多いのです。
宅建士は法律系資格の登竜門
宅建を受験する人は、不動産業界で働く人ばかりではありません。
宅建士の難易度は低くありませんが、法律系国家資格の中では難易度は低めの資格となっている点に注意が必要です。
いわば法律の世界への登竜門として、宅建士資格を実力試しとして受験するという層が一定数いるのです。
法学部生や建築学部生
大学の法学部生や建築学部生が、最初に受ける資格試験として宅建士を受験することがあります。
特に、宅建士資格の出題分野の中で権利関係の分野は、法学部生にとって初めて試験で実力を試すためには有益な分野となっています。
また、宅建士資格を取っておくことで不動産業界への就職活動を考え出す学生もいます。このように大学生が、勉強の一環で宅建士資格を受験することも多いのです。
司法書士や司法試験の受験生
司法書士、司法試験などの法律系の難関資格を目指す人が宅建士を受けることも少なくありません。
司法書士は試験が毎年7月、司法試験は5月であり、宅建士試験まで勉強時間がほどよくあるので、試験慣れ、気分転換を目的として宅建を受験をする人がいるのです。
司法書士や司法試験の受験生は、他の資格と比べものにならないほど法律の勉強をしているため、非常に高い確率で合格しています。
自己啓発
宅建士資格を自己啓発目的で受験する人もいます。純粋に資格取得のみを目的としていて、比較的時間がある法学部以外の学生や、子育てが落ち着いた主婦などです。
資格取得後はさらに行政書士や司法書士など他資格を目指す人が多いようです。
自宅の不動産業を手伝うため
例えば夫が不動産業を経営していて、その仕事を手伝うために妻が宅建士の資格を取るということもあります。いわば、内助の功として資格を取得するという形です。
小規模な「街の不動産屋さん」、つまり、家族経営で不動産業を営んでいる人にはかなり多い形態です。
イメージとしては、夫が不動産屋の経営、営業をして、妻が経理とともに、宅建業法で決められている重要事項の説明等を行うという形です。
不動産業界以外の受験生が、宅建の難易度を高めている
これらの不動産業界以外の受験生は、不動産業界で本気で宅建士資格を目指している人にとっては、かなり厄介な伏兵となります。
というのは、法学部生や他資格受験生は宅建士試験で重要となる権利関係が勉強済みです。また、自己啓発の受験生は時間に余裕があるので、しっかりと勉強時間を確保してきます。
そのため、忙しい不動産業界で働きながら宅建士資格を目指す人より合格しやすくなります。
宅建士の合格基準は上位15%前後の席取りゲームです。宅建士試験においては、不動産業界以外の受験生が強力なライバルとなるということは覚えておいてください。
そして彼らに負けないようコツコツと計画的に勉強を進めていきましょう。
参考 宅建士の難易度
宅建士人気の理由のまとめ
以上から宅建士資格人気の理由をまとめると以下のようになります。
- 不動産業界で働くためには必須の資格
- 不動産業界で働かずとも自己啓発やスキルアップにつながる
- 宅建業者として独立開業しやすくする(人件費を抑える)
これらが毎年、15万人もの人が宅建士資格を受ける理由、つまり、宅建士が人気の理由です。
どのような動機でも「まずははじめてみる」
このように宅建士資格を目指す理由は「不動産業界で働くため」という生活に関わる切実なものから「自己啓発のため」という自分自身の能力アップのためまでさまざまです。
ただ、理由どうであれ、宅建士資格は持っていて損をすることはない資格であることは間違いがないと言えます。
宅建士の資格は本1冊から始めることができますので、少しでも、「興味がわいた」というのであれば、ぜひチャレンジをしてみてください。